メキシコ南部の美食の都、オアハカ(Oaxaca)。街を歩けば、どこからともなくカカオとシナモンの甘くスパイシーな香りが漂ってきます。
そのチョコラテ(ホットチョコレート)文化を象徴するブランドが、1956年創業の**「Mayordomo(マヨルドモ)」**です。地元の日常に溶け込み、観光客も必ず訪れるこの名店で、伝統の味とカカオの加工工程を体験してきました。

なぜ「Mayordomo」はオアハカで特別な存在なのか?
オアハカには数多くのチョコレート店がありますが、その中でもMayordomoは圧倒的な知名度と信頼を誇ります。
人気の理由は主に3つあります。
- 1956年創業の老舗:家庭ごとの秘伝レシピを商品化したパイオニア。
- オーダーメイド:自分好みの配合でチョコレートを挽いてくれる、地元民御用達の店。
- 体験型店舗:カフェの隣でカカオがチョコになる工程を間近で見学可能。
そもそも、なぜオアハカはチョコラテで有名なのか?
カカオは古代アステカやマヤ文明で「神々の食べ物」とされ、当時はスパイスやチリを加えた**「泡立つ苦い飲み物」**でした。この泡にこそエネルギーが宿ると信じられていたのです。
スペイン統治時代に砂糖やシナモンが加わり、現在のスタイルになりましたが、オアハカには今もその伝統技法が息づいています。

メキシコシティの国立宮殿の壁画にも、インディヘナがカカオを収穫する様子が描かれている。
オアハカ名物「チョコラテ」の3つの特徴
オアハカのチョコラテは、一般的なココアやホットチョコレートとは一線を画します。
- シナモンと砂糖、そしてアーモンドが香る、独特の深い味わい: 非常にスパイシーで香ばしい、奥深い味がします。
- ミルクではなく「水ベース(Chocolate de Agua)」が伝統: もちろんミルクベース(Chocolate de Leche)もありますが、カカオ本来の味を楽しむなら、水で点てた「Chocolate de Agua」が地元流です。
- モリニージョで点てる、命の「泡」: 最も重要なのが、その表面を覆うきめ細やかな泡です。

チョコラテは泡立てた状態で提供される。
実録:Mayordomoのカフェで伝統の味を体験
今回訪れたのは、歴史地区の中心部にある、カフェ併設のMayordomo。店内に入ると、カカオとシナモンの香りに包まれます。

店内はおしゃれな雰囲気。オアハカ観光の休憩にピッタリ。
職人技!目の前で繰り広げられる「泡立て」のライブ
カフェでチョコラテを注文すると、目の前で職人技が繰り広げられます。木製の泡立て器**「モリニージョ」**を高速回転させて点てた後、高い位置から勢いよくカップに注ぎ入れます。
※今回はミルクベースのチョコラテを注文しました。

店員さんが目の前でチョコラテを泡立ててくれる。

Mayordomoの店員が、高い位置から泡立ったチョコレートをカップに注ぐ様子。高い位置から注ぐことで、さらに空気を含ませ、理想的な泡を作る。

完成したチョコラテ。モリニージョと注ぎ技によって作られた、見事な泡の層。
黄金コンビ!メキシコの“メロンパン”「コンチャ」と一緒に
そして、この甘いチョコラテの最高の相棒が、一緒に注文したメキシコの国民的菓子パン**「コンチャ(Concha)」**です。見た目が日本のメロンパンにそっくりなことから、日本人旅行者の間では「メキシコのメロンパン」とも呼ばれています。

オアハカの朝の風景。泡立つチョコラテと、黄色いサクサクのコンチャ。チョコラテの泡にディップして食べるのがオアハカ流の通な楽しみ方
必見!チョコレートができるまでの「ライブ工房」
Mayordomoの最大の醍醐味は、カフェで美味しいチョコラテを飲むだけでなく、そのチョコレートがまさに作られている工程を、目の前で、ライブで見学できる点です。

店舗内で実際にチョコレートが作られている。
1. 原材料:オアハカの味の設計図
カフェの隣にある、チョコレートの販売スペース兼工房に足を踏み入れると、チョコレートの「核」となる原材料を見ることができます。
金属製の盆には、乾燥しローストされたカカオ豆の山、そして驚くほど大量のシナモンスティックが置かれています。このシナモンの量が、オアハカのチョコレートがどれほどスパイシーで香り高いかを物語っています。

スタッフが原材料を間近で見せてくれる。
2. 粉砕と混合:職人の手技と機械の融合
工房内では、青い作業着を着たスタッフが、原材料を各家庭のオーダーに合わせた絶妙な比率で混合し、それを巨大な産業用グラインダー(挽き肉機のような機械)のホッパー(投入口)へ投入していきます。
グラインダーの出口からは、濃厚で、ツヤのあるチョコレートペースト(リカー)が、とろりと流れ出てきます。スタッフがそれを金属製の盆に器用に集めていきます。

スタッフが、カカオ、砂糖、シナモンの混合物をグラインダーへ投入する。

グラインダーの熱でカカオバターが溶け出し、濃厚なチョコレートペーストが生まれる。
3.仕上げ:再び機械へ、そして完成
スタッフはそのペーストを集め、再び別のグラインダーの投入口へと流し込みます。この工程を繰り返すことで、オアハカ伝統の、ザラッとした食感を残しつつも口当たりの良いチョコレートペーストが完成するのです。

より滑らかな食感を出すため、ペーストを再び別のグラインダーに通す。
お土産も充実:オアハカの味を自宅でも
もちろん販売スペースでは、この挽きたてのペーストのほか、様々な種類のチョコレートを買うことができ、お土産としても大人気です。

店内でお土産を探すのも楽しい。
まとめ:オアハカに来たら「Mayordomo」でのカカオ巡礼は必須
Mayordomoは、単なるカフェではなく、数千年前から続くカカオの歴史と現代の生活が交差する場所です。
- 老舗の安心感と伝統レシピ
- 目の前で点てられる泡立つチョコラテ
- カカオ豆からペーストになるまでのライブ工程
これらすべてが一度に楽しめるMayordomo。美食の都を訪れたら、ぜひ本場の「泡」のエネルギーを感じてみてください。
Mayordomo 店舗情報(例)
- アクセス: 歴史地区の中心部、ソカロ(中央広場)周辺やベニート・フアレス市場の近くなど、観光客が立ち寄りやすい場所に複数店舗があります。※今回は下記の店舗を訪問しました。
| 項目 | 内容 |
| 店名 | Chocolate Mayordomo (Mina 219店) |
| 住所 | Francisco Javier Mina 219, Centro, 68000 Oaxaca de Juárez, Oax. |
| アクセス | ベニート・フアレス市場(Mercado Benito Juárez)から徒歩1分 |
| 特徴 | カフェ併設。店内でチョコラテを飲めるほか、カカオを挽く工程を間近で見学可能 |
| 営業時間 | 7:00 〜 22:00(※現地の状況により多少前後する場合があります) |







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