メキシコシティ観光で外せないスポット、標高約2,300mの丘に建つ「チャプルテペック城(Castillo de Chapultepec)」。ここは単なる美しい城ではなく、スペイン統治時代から独立、帝政、そして革命へと至るメキシコの波乱に満ちた歴史を体現する場所です。
現在は国立歴史博物館となっている、この場所に実際に訪れてみると、宮殿の豪華さと重厚な歴史壁画、そしてテラスからの絶景が一度に楽しめる、非常に満足度の高いスポットでした。
今回は、その見どころを詳しく解説します。


■ チャプルテペック城の歴史と重要性
チャプルテペック城は18世紀後半、スペイン統治時代に建設が始まりました。その後、時代ごとに役割を変えながらメキシコの中心に存在し続けています。
- 軍学校時代: 独立後の防衛の拠点。
- 皇帝の宮殿: マクシミリアン1世の居城。
- 大統領官邸: ポルフィリオ・ディアスらが使用。
- 現在: 国立歴史博物館。
特に1847年の米墨戦争における「チャプルテペックの戦い」は重要です。若き士官候補生たちが国旗を纏って身を投げたとされる逸話は「ニーニョス・エロエス(少年英雄)」として、今もメキシコの愛国心の象徴となっています。

6人の少年英雄たち:フランシスコ・マルケス (13歳)、フアン・デ・ラ・バレラ (19歳)、フアン・エスカティア (20歳弱)、アグスティン・メルガル (18歳)、ビセンテ・スアレス (14歳)、フェルナンド・モンテス・デ・オカ (18歳)。
■ 映画・ドラマのロケ地としても有名
その壮麗な建築から、多くのハリウッド映画の舞台にもなっています。
- 『ロミオ+ジュリエット』(レオナルド・ディカプリオ主演)
- 『ベラクルス』(1954年米映画)
ヨーロッパ風のネオ・クラシカル様式とメキシコの光が融合した独特の空気感は、映像作品の中でも際立っています。

お城とは思えないほど開放的な光の空間。モダンなガラス天井と、歴史ある石造りの壁が融合している。

映画の舞台になるのも納得の美しさ。
■ 館内の見どころ(国立歴史博物館)
① 入口で圧倒される天井画『北米の介入(La Intervención Norteamericana)』
城内に入り、中央階段を見上げると現れる巨大な天井画。これはガブリエル・フローレスによる作品で、メキシコの近代化と苦難を象徴的に描いています。この壁画の主役は、メキシコで「ニーニョス・エロエス(英雄児)」として讃えられる軍学校の生徒の一人、フアン・エスカティアです。
1847年の米墨戦争時、チャプルテペック城が陥落する間際、彼はメキシコの国旗が敵軍の手に渡るのを防ぐため、自ら国旗を身に纏って城の屋上から身を投げたと伝えられています。

見上げた先にある悲劇と誇り。国旗を抱いて身を投げた少年兵の物語が、天井一杯に広がる。

中央階段では、ホセ・クレメンテ・オロスコ作『近代メキシコの寓話』も見ることができる。
② ポルフィリオ・ディアス時代の豪華な宮殿
長期政権を築いたポルフィリオ・ディアスの時代には、この城は実際の大統領官邸として使われていました。
館内には当時の:
- 豪華な家具
- ヨーロッパ風の装飾
- シャンデリアや調度品
などがそのまま残されており、当時の上流階級の暮らしを体感できます。

城内にある豪華なクリスタル・シャンデリア。石造りの重厚な建築と、繊細なガラスの対比が美しい。

豪華絢爛な「大使の間」。金装飾が施された白い壁面と、マラカイトの深いコントラストが宮殿の格式を感じさせる。

歴史を運んだ巨大な帆船。かつての貿易の主役が、今は静かに展示室を見守る。
③ 歴史を物語る展示と壁画
城内は「歴史博物館」として、独立戦争から現代に至るまでの貴重な資料が展示されています。
特に、各部屋にはメキシコのアイデンティティを象徴する壁画が並んでおり、城内の大きな見どころのひとつになっています。

1室を占拠する巨大な壁画。フアン・ゴルマンによる『ディアス独裁制から革命へ』。イダルゴ神父が「グアダルーペの聖母」の旗を掲げ、独立へと民衆を導く姿が描かれている。

ホセ・クレメンテ・オロスコにより描かれた、メキシコ史上最も愛される大統領、ベニートフアレスの肖像。背後には自由を求めて戦う人々と、旧体制が崩れ去る様子が描かれている。

ホルヘ・ゴンサレス・カマレナ作『歴史の一場面』。征服者と先住民の融合という、メキシコの複雑なルーツを鮮烈な色彩で表現。

フアン・オゴルマン作。メキシコ革命の先導者、フランシスコ・マデロが白馬に乗って進む。希望に満ちた民衆の歓喜が聞こえてきそう。
■ テラスからの絶景と癒しの空間
展示を見終えたら、ぜひテラスへ。ここはメキシコシティで最も美しい景色が楽しめる場所の一つです。
- 美しい噴水
- ベンチ
- チャプルテペック公園の大パノラマ
城のテラスからは、大都会の喧騒と豊かな緑が融合したパノラマビューが広がります。風に吹かれながらこの景色を眺める時間は、観光の疲れを忘れさせてくれる最高の贅沢です。

目の前に広がるチャプルテペックの森と、その先にそびえる近代的なビル群。新旧のメキシコが交差する絶景。
■ 行き方と注意点
チャプルテペック城は、少し「体力」を要するスポットです。
- 坂道: チケット購入後、城の入口まで約10〜15分ほど坂を登ります。高地なので無理せずゆっくり歩きましょう。
- 日差し: 遮るものがない場所も多いため、帽子や水は必須です。
- 服装: 広い館内と坂道を考慮し、スニーカーを強く推奨します。

喧騒を離れたチャプルテペックの森。お城の入り口までは、緑豊かなスロープをゆっくりと登っていく。

チャプルテペック城の入り口。簡単なセキュリティを通って入場する。
■ 基本情報まとめ
| 項目 | 内容 |
| 名称 | チャプルテペック城(国立歴史博物館) |
| 営業時間 | 9:00〜17:00(最終入場16:00頃) |
| 休館日 | 月曜日 |
| 入場料 | MXN:100ペソ(日曜日はメキシコ在住者・国民無料のため非常に混雑します) |
| 所要時間 | 2〜3時間 |
| アクセス | 地下鉄1号線 Chapultepec駅、または7号線 Auditorio駅から徒歩 |







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