サンクリストバル・デ・ラス・カサスには、美しい街並みだけでなく、チアパス州の先住民文化やマヤ文明、そしてこの地を愛した人々の歴史を感じられる場所が多くあります。
その中でも、初めてサンクリを訪れる人にぜひおすすめしたいのがカサ・ナ・ボロム(Casa Na Bolom)です。
デンマーク人の考古学者フランス・ブロム(Frans Blom)と、スイス出身の写真家・民族学者ゲルトルード・デュビー(Gertrude Duby)夫妻が実際に暮らしていた邸宅そのものが博物館になっています。
館内には、二人が使っていたカメラや探検道具、膨大な写真、マヤ・ラカンドン文化に関する貴重な資料が展示されており、まるで「探検家の自宅」を訪ねているような不思議な感覚を味わえます。

カサ・ナ・ボロム(Casa Na Bolom)とは?
カサ・ナ・ボロムは、サンクリストバルのエル・セリージョ地区にある歴史的邸宅兼博物館です。現在の建物は1891年に神学校として建設されました。
1950年にブロム夫妻が購入し、チアパスの先住民文化やマヤ文明、ラカンドンの自然環境を研究・保護するための拠点としました。現在は非営利団体「ナ・ボロム文化協会」によって運営されています。
ちなみに「Na Bolom」はマヤの言葉で「ジャガーの家(La Casa del Jaguar)」を意味します。「Bolom」はマヤ語でジャガーを表し、Frans Blomの名前との掛け合わせから名付けられました。

主な登場人物:ブロム夫妻
1. フランス・ブロム(1893-1963) デンマーク出身の考古学者・探検家。1921年にメキシコへ渡り、パレンケやトルトゥゲーロなどの遺跡に魅せられました。優れた測量技術を生かし、パレンケやトニナなどマヤ地域の詳細な地図を作成・記録しました。
2. ゲルトルード・デュビー(1901-1993) スイス出身の写真家・民族学者。チアパスの先住民社会、とりわけラカンドンの人々の暮らしや自然環境をカメラに収め続けました。彼女が残した約5万点のモノクロ写真は、20世紀のチアパスを記録した超一級の歴史資料です。

カサ・ナ・ボロムの見どころ&写真ギャラリー
① 花と緑に囲まれた「美しきパティオ(中庭)」
敷地に入ってまず目を奪われるのが、コロニアル調の黄色いアーチ回廊に囲まれた静寂な中庭(パティオ)です。
中央には素焼きの大壺やブーゲンビリアなどの植物が配され、青空と黄色い建物の対比が非常に美しい空間です。見学の合間に風を感じながらベンチでひと休みするのも、この邸宅博物館ならではの贅沢な時間です。


② フランス・ブロム:探検家の足跡
展示室に入ると、フランス・ブロムの巨大な肖像写真と年表が出迎えてくれます。
展示ケースには、実際に探検で使われた古いタイプライターや地図、測量器具、キャンプ道具などがズラリ。当時のジャングル調査の苛烈さと、彼の「仕事道具」のリアルな息遣いが伝わってきます。


実際に探検に使われた道具を間近でみることができる。

キャンプや旅行に使われた道具。チアパスの厳しい自然を生き抜いた知恵が展示物に垣間見える。

地図を作り、遺跡を調査していた人物の「仕事道具」を実際に見ることができるのは、この博物館ならでは。
③ゲルトルード・デュビー:記録者たちの部屋
ゲルトルードが愛用したカメラや写真資料の展示も見逃せません。
彼女が命がけで撮影した写真は、衣装や祭り、日常の風景など、文字だけでは残らない「当時の生きた歴史」を現代に伝えています。

④ Sala Lacandona:ラカンドン文化の展示
ナ・ボロムのハイライトの一つが、チアパスの深林で暮らすラカンドン(彼らの言葉でHach Winik=真の人々)の展示です。
単に過去の異文化として展示するのではなく、現在も受け継がれている「生の文化」として触れられるのが特徴です。
Gertrudeはラカンドンの生活について学び、写真や文章を通してその文化を紹介するとともに、文化の保全にも取り組みました。

⑤ 考古学コレクション(モシュビキル遺跡)
考古学ファン必見なのが、サンクリ近郊の「モシュビキル(Moxviquil)遺跡」などから出土した資料群です。
サンクリのすぐ近くにこうした古代遺跡が存在していたことを知ると、街の歴史が一層深く感じられます。

⑥ 図書室と礼拝堂:知識の宝庫と建物の歴史
ナ・ボロムには、マヤ文明や人類学に関する約14,000冊の蔵書を誇る図書室や、かつて神学校として建てられた名残である礼拝堂があります。
1891年の建物 → 神学校としての構想 → 歴代所有者 → FransとGertrudeの自宅 → 現在の博物館という歴史をたどることができます。


⑦ 生活空間:かつてのサロン・ダイニング
個人的に最も魅力的だと感じるのが、二人が実際に使っていたダイニングスペースです。
かつてここには、画家ディエゴ・リベラや有名作家、世界中の探検家が集い、チアパスの未来や文化について語り合っていました。

初心者にカサ・ナ・ボロムをおすすめする理由
ソカロやカテドラルを巡るだけでは見えてこない「チアパスに生きてきた人々の深い文化」に触れられるのが最大の魅力です。
特に、これからパレンケ遺跡やラカンドンの森へ行く予定がある人は、事前にここを訪れておくと旅行中の景色が一変します。

📝 まとめ・基本情報
カサ・ナ・ボロムは、歴史、考古学、写真、建築、そして二人の研究者の情熱が凝縮された場所です。サンクリストバルという街の奥深さを知るために、ぜひ足を運んでみてください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | Casa Na Bolom / Museo Na Bolom |
| 住所 | Av. Vicente Guerrero 33, Barrio del Cerrillo, San Cristóbal de las Casas |
| 開館時間 | 月曜~土曜 10:00~17:00 定休日:日曜日 |
| 入場料 | 80ペソ(※ホテル宿泊者は見学無料) |
| 所要時間 | 1~2時間程度 |
| 公式サイト | https://nabolom.org/ |
※開館時間や料金は変更される場合があるため、最新情報は事前にお電話や公式サイトでご確認ください。







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