【イベント】20年ぶりの奇跡!メキシコシティ現代美術館で、フリーダ・カーロとディエゴ・リベラの名作が集結

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2026年春、Museo de Arte Moderno(通称MAM=メキシコ現代美術館)では、メキシコ美術ファンにとって歴史的とも言える特別展示が開催されています。

その名も「Relatos modernos. Obras emblemáticas de la Colección Gelman Santander」。

世界的にも極めて貴重な「ゲルマン・サンタンデール・コレクション」が公開されており、フリーダ・カーロやディエゴ・リベラを中心に、メキシコ近代美術の名作が惜しみなく投入されています。

さらに館内では、幻想的な作風で知られるレメディオス・バロの特別展示も同時開催中。非常に贅沢な構成になっています。

目次

20年ぶりにメキシコへ帰ってきた「ゲルマン・コレクション」

今回展示されている作品群は、映画プロデューサーのジャック・ゲルマン夫妻が1940年代のメキシコ映画黄金期に、親交のあった芸術家たちから直接依頼・購入した伝説的コレクションです。

長らくメキシコ国内でまとまって公開される機会が少なかったのですが、現在はサンタンデール銀行の管理下にあり、今回は約20年ぶりの大規模な里帰り展示となります。


フリーダ・カーロ作品が圧倒的

今回の展示の主役は、やはりフリーダ・カーロ。彼女の苦悩だけでなく、ユーモアや民族的誇りが凝縮された重要作が並びます。

《Diego en mi pensamiento(わが心のディエゴ)》1943年

フリーダの代表作の一つ。額に最愛の夫ディエゴを描き、彼への執着と愛を表現しています。民族衣装「テワナ」の複雑なレースが彼女を包み込み、血管のような糸が周囲に広がっています。

《Autorretrato con monos(猿のいる自画像)》1943年

彼女が可愛がっていたクモザルたちに囲まれた作品。猿たちは彼女の孤独を癒やす子供のような存在でもありました。背景の豊かな植物の描写も、近くで見ると驚くほど繊細です。

《Autorretrato con trenza(三つ編みの自画像)》1941年

髪を高く編み上げ、裸の肩を植物の葉で覆った作品。ディエゴとの再婚後の時期に描かれ、彼女の再生と自然との一体感を感じさせます。

《El abrazo de amor del Universo, la Tierra (México), Yo, Diego y el señor Xólotl(宇宙、大地(メキシコ)、私、ディエゴ、シニョール・ショロトルの愛の抱擁)》1949年

メキシコの大地、宇宙、そして赤ん坊のようなディエゴを抱くフリーダ。メキシコの神話的世界観と、彼女の母性、愛の形が壮大なスケールで描かれています。

《La novia que se espanta de ver la vida abierta(切り開かれた生を見て驚く花嫁)》1943年

フリーダには珍しい静物画。タイトル通り、瑞々しく「切り開かれた」果物の中に小さな花嫁の人形が描かれています。性や生への不安と驚きが、果物の色彩豊かな描写に隠されています。


ディエゴ・リベラ:メキシコ近代美術の巨人

壁画の大家であるディエゴ・リベラですが、今回のコレクションでは彼の「肖像画」や「静物画」の卓越した技術を堪能できます。

《Modesta(モデスタ)》1937年

メキシコの先住民族の血を引く少女をモデルにした肖像画で、彼女の強い眼差しと凛とした佇まいが印象的。メキシコのアイデンティティと民衆の尊厳を力強く表現しています。

《Vendedora de alcatraces(カラー売り)》1943年

リベラの最も愛されるモチーフの一つ。溢れんばかりの白いカラーの花と、それを背負う先住民の女性。労働の尊さとメキシコの美しさが、リベラ特有の柔らかなフォルムで描かれています。

《Retrato de Natasha Gelman(ナターシャ・ゲルマンの肖像)》1943年

コレクターであるナターシャを、彼女が愛したカラーの花と共に描いた傑作。優雅なドレスの曲線と、モデルの美しさを最大限に引き出した構図が見事です。

《Girasoles(ひまわり)》1943年

巨大なひまわりに囲まれて遊ぶ子供たち。リベラがメキシコの日常や子供たちに向ける温かな眼差しが、鮮やかな色彩と共に伝わってきます。


同時開催「レメディオス・バロ展」

そして、絶対にセットで見てほしいのが、Remedios Varo(レメディオス・バロ)の展示です。

スペイン内戦を逃れメキシコへ亡命した彼女は、この地で唯一無二の幻想世界を開花させました。錬金術、科学、占星術、そして夢の世界を混ぜ合わせたような彼女の絵は、見る人を物語の奥深くへと引き込みます。

下描きやスケッチなどの資料も豊富で、彼女の思考のプロセスに触れることができる貴重な機会です。

《La creación de las aves(鳥の創造)》1957年
レメディオス・バロの最も有名な作品の一つ。科学と芸術が融合した実験室で、星の光と楽器から命ある鳥を紡ぎ出す神秘的な光景です。

《El flautista(笛吹き)》1955年
幻想的な風景の中で笛を吹く人物が描かれ、音楽の調べで石を浮かせ、幾何学的な塔を築き上げる錬金術的な創造の瞬間を描いています。

Mimetismo(擬態)》1959年
奇妙な形の髪型をした女性が、不穏な室内で椅子に座っています。部屋の調度品と一体化していく女性を通じ、日常に潜む静かな変容と自己の喪失を表現しています。

《La huida(逃亡)》1961年
風に吹かれる一組のカップルが、不安定な小舟(または傘)に乗って、霧に包まれた不思議な岩山や風景の中を逃亡しています。精神的な自由への旅路を象徴しています。


展覧会・アクセス情報

MAM(メキシコ現代美術館)は、国立人類学博物館のすぐ向かい、チャプルテペック公園の中にあります。緑に囲まれた美しい美術館で、心ゆくまでメキシコ美術に浸ることができます。
※アクセスについては、現代美術館の記事を参照のこと。

項目内容
展覧会名Relatos modernos. Obras emblemáticas de la Colección Gelman Santander
「ゲルマン・サンタンデール・コレクション」
開催期間2026年5月現在開催中(※巡回予定のため、展示期間は下記HPを参照のこと)
場所Museo de Arte Moderno (MAM)
国立人類学博物館のすぐ近く、大きな「黄色いオブジェ(Monumento a la Amistad)」が目印。
営業時間火曜日〜日曜日 10:15 – 17:45
入場料100~200ペソ前後(※日曜日はメキシコ居住者・学生などは無料)
公式サイトmam.inba.gob.mx

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