【プエブラ世界遺産】世界最古級「パラフォクシアナ図書館」を徹底解説!ユネスコ世界の記憶にも登録された知の宝庫

  • URLをコピーしました!

プエブラ歴史地区には、美しい教会や街並みだけでなく、世界中の本好き・建築好きが憧れる場所があります。

それがパラフォクシアナ図書館(Biblioteca Palafoxiana)

1646年に創設されたこの図書館は、アメリカ大陸初の公共図書館として知られ、2005年にはその歴史的・文化的な価値からユネスコ「世界の記憶(Memory of the World)」にも登録されました。現在でも約4万5千冊もの貴重な古書や写本が大切に保存されており、その建物自体も「生きた歴史遺産」といえる存在です。

今回は、実際に訪れた際に撮影した写真とともに、その歴史や建築の魅力を詳しく紹介します。

目次

パラフォクシアナ図書館とは?

パラフォクシアナ図書館は、プエブラ大聖堂のすぐ近くにあるCasa de la Cultura(文化会館)の2階にあります。1階の中庭(パティオ)を通り抜け、2階へ上がると、歴史を感じさせる重厚な石造りの門構えが見えてきます。

一見すると普通の歴史的建物ですが、門をくぐり重厚な木製扉を開けて館内へ足を踏み入れると、その印象は一変します。

高さのある天井まで届く木製書架、何百年もの歴史を感じる古書、そして静寂に包まれた空間。

まるで映画『美女と野獣』や『ハリー・ポッター』に登場するような図書館を思わせる荘厳な雰囲気です。

館内は広いが、階段を登ればすぐに図書館へたどり着くことができる。

階段近くでチケットを購入すれば、重厚な扉をくぐって図書館内へ入ることができる。

パラフォクシアナ図書館の歴史と創設者の想い

創設者フアン・デ・パラフォクス・イ・メンドーサ

この図書館は1646年、当時のプエブラ司教フアン・デ・パラフォクス・イ・メンドーサ(Juan de Palafox y Mendoza)によって設立されました。彼はスペイン出身の司教であり、教育や文化の振興、そして先住民の権利保護にも大きく貢献した、非常に教養高く影響力のある人物でした。

「知の開放」という画期的な理念と名言

パラフォクス司教は、自身が所有していた約5,000冊もの貴重な蔵書を寄贈しました。その際、彼は単に本を寄付するだけでなく、

「読み書きができる者であれば、身分、職業、階級に関係なく利用できる」

という、当時としては画期的な、まさに「公共図書館(Biblioteca Pública)」の先駆けとなる理念を掲げました。

現在でも閲覧室の2階回廊中央には、この歴史的偉業を成し遂げたパラフォクス司教の像が掲げられており、頭上のラテン語分類看板とともに、訪れる人々や静かに眠る蔵書たちを優しく見守っています。

ユネスコ「世界の記憶」に登録された理由

パラフォクシアナ図書館が評価された理由は、単に古い図書館だからではありません。2005年にユネスコ「世界の記憶(Memory of the World)」に登録された大きな価値は、

  1. 創設当時の建物がほぼそのまま残っている:特に18世紀に整備された主要な閲覧室(Nave)が現役であること。
  2. 約4万5千冊の歴史的蔵書を保存している:15世紀から20世紀初頭にわたる、人類の知的遺産の宝庫。
  3. 18世紀の木製書架や独自の分類方法まで維持されている:ハードウェア(建物・書架)とソフトウェア(蔵書・分類)が一体となって保存されている。
  4. 17世紀から現在まで同じ場所で、同じ精神(知の開放)で機能し続けている:これが「生きた歴史遺産」と呼ばれる理由です。

図書館そのものが「知識を保存し、伝承してきた人類の歴史」を今に伝える、極めて稀有な存在なのです。

所蔵されている貴重な書物(ノストラダムスの予言書など)

現在の蔵書数は約45,000冊。

15世紀から19世紀にかけて印刷された書籍が中心で、

  • 神学
  • 哲学
  • 法律
  • 医学
  • 天文学
  • 地理学
  • 自然科学

など、当時の知識体系を幅広く網羅しています。

特に珍しいコレクションとして知られているのが、ミシェル・ノストラダムス(Nostradamus)の『予言集(Les Prophéties)』です。パラフォクシアナ図書館には、神学・医学・天文学・占星術など多様な分野の古書が所蔵されており、ノストラダムスの著作(またはその後世の版)もコレクションの一部として知られています。

貴重な本のコレクションに思わず目を奪われる。

世界最古級の医学書も閲覧できる。当時の知識体系を幅広く網羅していることがわかる。

自然光が入る図書館。人工灯がない館内を明るく照らしている。

建築と調度品が織りなす「知の聖堂」

この図書館の魅力を語る上で欠かせないのが、重厚で精巧な建築と調度品です。

バロック様式の3層木製書架

閲覧室(長さ約43メートル、幅約12メートル)の両脇を埋め尽くす書架は、18世紀に司教フランシスコ・ファビアン・イ・フエロの時代に整備・増築されたものです。アヤカウイテ(メキシコ松の一種)、シダー(杉)、コロヨテ(コヨテの木)などの良質な木材が使われており、バロック様式特有の繊細な木彫り装飾が施されています。

入口のアーチ部分(写真上)に施された木彫りの装飾も実に豪華で、職人技の結晶とも言える彫刻が空間全体を格調高く仕立て上げています。

必見の歴史的道具:回転式書架(ブックホイール)

館内の中央付近で特に目を引くのが、大きな木製の水車のような装置です。

これは「回転式書架(ブックホイール / Rueda de libros)」と呼ばれるもので、車輪を回すことで、複数の分厚い古書を開いた状態のまま交代で参照できるという、16〜17世紀の「タブレットのマルチウィンドウ」とも言える革新的な勉強道具でした。当時の学者たちがどのように研究を行っていたかを体感できる非常に貴重な展示です。

空間の焦点をなす「トラパニの聖母」

閲覧室の最奥部に鎮座しているのは、金色の豪華な額縁に囲まれた「トラパニの聖母(Virgen de Trapani)」の宗教画です。イタリア・シチリア島トラパニの聖母像をモチーフにしたもので、学問の探求に励む中で常に神の導きと加護を求める象徴として掲げられました。

この金色の祭壇が存在することで、この場所は単なる図書保管庫を超えて、知識と信仰がひとつになった「知の聖堂(Temple of Knowledge)」としての圧倒的な神聖さを放っています。

特別展示「LIBROS QUE REVOLUCIONARON LA HUMANIDAD」と解説展示

訪問時には、併設された展示室で特別展示「LIBROS QUE REVOLUCIONARON LA HUMANIDAD(人類を変えた本)」も開催されていました。

展示室には、図書館が入る建物や隣接するプエブラ大聖堂の精巧な建築模型も飾られており、この地域全体がどのように歴史的・宗教的中心地として発達してきたのかを多角的に学ぶことができます。

特に壁一面に飾られた分類看板は圧巻で、神学だけでなく法律(JURIS)、自然科学(NATURALIS)、医学(MEDICI)、数学(MATHEMATICI)など、あらゆる学問分野が整然と分類されていたことが分かります。

プエブラ大聖堂の模型。

当時から多岐にわたるジャンルの本が蔵書されていたことがわかる。

展示室では、さらに多くの貴重な古書を見学することができる。

まとめ

項目内容
名称パラフォクシアナ図書館(Biblioteca Palafoxiana)
営業時間火曜日~日曜日 9:00~17:00
定休日:月曜日
入場料一般(大人):45ペソ~
ユネスコ世界の記憶2005年登録
場所プエブラ歴史地区近く、Casa de la Cultura(文化会館)の2階。

コメント

コメントする

目次